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他国への使節のような臨時の任務についていないときの董玄焔の最大の職務は、帝国の治安維持のため、各所に放った密偵からの情報を集め、分析し、ときには必要な措置を講じるとともに、皇帝の代理である皇太子に報告することである。玄焔が都に不在の時には、彼の腹心がその任務に就いていた。
皇太子は、玄焔の能力と人柄ともに信頼していた。市井の情報をおもに集める玄焔とは別に、後宮の女官や宦官、朝廷の高官などからも情報は入る。そのなかに、玄焔に関して気になる情報があったので、彼が定期報告に訪れたとき訊ねてみた。
「そのほうの妹が麗蓮妃の侍女になっていると耳にしたが、まことか?」
遠回しな探りを入れずに面と向かって直接訊ねるのは、玄焔を信頼しているからでもあり、彼自身の人柄でもある。異母弟の暁王とは違って腹芸の苦手な自分が、暁王や高官たちの一部に凡庸と見られていることに、皇太子は気がついている。だが、暁王のような狡猾さは、洛帝国のような安定した大国を治めるには不向きであろうと思っているので、無理に自分を変えようとは思わない。
「まことでございます」と玄焔が答えた。報告する必要は感じなかったが、べつに隠すようなことでもない。
「情報収集のために送り込んだのか?」
「いいえ。それなら殿下に報告しております。妹が侍女になったのは、妹の個人的な事情によるものです」
「というと?」
「里長の子息に手籠めにされそうになり、逃げだして、輿入れ行列を待ち受け、麗蓮妃様付きの侍女に志願いたしました」
皇太子は絶句した。何もかもが彼の常識の範囲外だった。
里長の息子が里の娘を手籠めにしようとした? それも、官吏となって出世した者の妹を? 娘がそれを振り払って逃亡し、輿入れ行列を待ち受けられるところまで長旅をし、侍女に志願した?
皇太子には、まるでならず者のような里長の息子の所業が理解しがたいし、村里の娘にそれを逃れる能力があるというのも驚きだった。
「そのほうの妹、諜報活動ができる能力がじゅうぶんにあるのではないのか?」
「めっそうもない。まだ子供です。護身術の心得と行き当たりばったりの行動力はございますが、それだけでございます。諜報活動ができるような思慮深さや忍耐力などはございません。後宮の侍女でもちゃんと勤まるのかどうか、兄として危ぶんでいるぐらいでございます」
「後宮は、たしかに、女たちの駆け引きがたいへんな魔窟のようなところと聞いたことがある。そのほう、よく妹の志願を許したな」
「許すも何も、へたをすると妹が死罪になりかねないような状況でしたので」
「死罪? なぜ?」
「里を出奔した罪と、輿入れ行列の妨害をした罪に問われました」
皇太子は目を丸くした。
「自分の貞操を守ろうとすると罪に問われるのか。平民の娘にはよくあることなのか?」
「よくあることです」
答えながら、玄焔は、皇太子の反応を世間知らずと思う一方で、好ましくも感じた。皇太子は、平民の女性たちがいかに弱い立場なのかわかっていない。というより、世の中には、立場の弱い相手を容赦なく踏みつけにする者がいくらもいるということをわかっていない。だが、そうと知って憤慨するのは、世間知らずであると同時に、自身が弱者を踏みつけにする人間ではないからでもある。
それは為政者として美点だと、玄焔は思う。この皇太子ならば、善政を敷く皇帝となるだろうと期待できよう。暁王では無理だ。
「そのほうの妹が侍女としては幼いというなら、麗蓮妃はどうして受け入れたのであろうな? 死罪になっては哀れだという慈悲心か」
「それもあるかと思います」
「というと? ほかにも理由があると思うのか?」
「砂漠の旅は危険なので、砂漠の国々では、長旅をして目的地にたどり着いた者を称賛し、受け入れる風潮がございます。その風潮によるところも大きいかと思われます」
「そうか。それなら、そのほうの妹は、異国人だからといじめられたりせず、だいじにされていると期待できるのだな」
「はい」
「そのほうにとって、麗蓮妃は妹を助けてくれた恩人なのだな?」
「はい」
「では、麗蓮妃を探れといっても難しいか」
「はい?」と、玄焔が問い返した。
「麗蓮妃様に何か不審な点を感じていらっしゃいますか?」
「そう聞かれると返答に困るのだが。父上があれほどのめりこんでいるのは、不審といえば不審だが、もとはといえば噂を聞いて彼女を欲しがったのであって、麗蓮妃のほうが誘惑のようなことをしたわけではないし……。そうは思っても、解せないのだ。どうしてあれほどまでにのめりこむのか? 父上が幼少のころに沙蘭国出身の侍女に命を救われたという話は聞いたが、郷里が同じでも別人ではないか。しかも母上までが麗蓮妃に心酔しているのだ」
「そうなのですか?」
「うむ。母上の人を見る目は確かだと思うのだが、あれは解せぬ。美貌で父上を虜にした女に、なぜそれほど寛容なのだ。麗蓮妃は人の心を操る魔性の女なのか? それとも、母上が心酔するほど心根の優れた女人なのか?」
「皇后様は麗蓮妃様に心酔しておられる理由をおっしゃっていましたか?」
「自国の民のことをわがことのように案じ、民を支配するのではなく、民のために尽くそうとする女人だというようなことを言っておられたな」
「それは、たしかにその通りでございますね」
「そうなのか?」
「沙蘭国に限らず、小国では王族と民の距離が近うございます。周辺諸国や馬賊などにつねに脅かされておりますから、王族には、民を守らなければならぬという意識の強い方も多いようです。麗蓮妃様やその妹御の星寧姫様は、とりわけそういうお気持ちの強い方々とお見受けいたしました」
「そういうことか。なるほど、洛帝国の皇族や貴族にはあまり見られぬ意識ではあるな。それで母上は感銘を受けたのだな」
「おそらくは」
皇太子は納得した。父の心情はさっぱりわからないが、母が誑かされたわけではなさそうだということはわかった。
麗蓮妃の価値観には興味を覚え、会って話してみたいと思ったが、母が許さないだろう。どういう人物か見定めるために会いたいと言ったとき、やんわりとだが拒否されたのだから。
もっとも、そのときには弟の珂王も同席しており、彼も麗蓮妃に会いたいと言って斥けられていた。自分や珂王が麗蓮妃に懸想するのではないかと、母が心配しているように見えた。それでなおさら、後宮の女官から聞いた麗蓮妃が魔性の女という噂を本気にしかけたのだ。
だが、たぶん、母が心配していたのは、自分ではなく珂王のことだろう。成人したばかりで、まだ正室を迎えておらず、美女に免疫がない。絶世の美女に会わせるのを避けようとする母の気持ちもわかる。もしも兄の自分が麗蓮妃に面会すれば、珂王が自分も会うと言って聞かないだろう。それを考えると、皇太子は、麗蓮妃に面会したいと願い出るのは避けようと思った。
玄焔が退室したあと、皇太子は、しばらく思案して、留学生向けの学校に行ってみることにした。麗蓮妃だけでなく妹の星寧姫も民を守るという意識が強いというなら、かなり年下の少女ではあるが、星寧姫に会ってみようと思い立ったのだ。
従者ふたりを従えて学校に向かいながら、皇太子は、星寧姫だけでなく、他の留学生たちとも話してみようと考えた。
沙蘭国だけでなく、小国の王族は民との距離が近く、民を守るという意識の強い者が多いと、玄焔は言っていた。留学生たちの大半は小国の王族だ。留学生たちに対しては、年に一度か二度ぐらい授業を見学して、激励の言葉をかけるという以外の接触はなかったが、価値観の違いがわかるような深い話をするのも悪くはない。
そう思いながら学校に行ってみると、その日最後の授業である石寿按の座学がもう少しで終わるという時間だった。
驚く石寿按に、皇太子は授業を続けるよう促し、授業が終わると、生徒たちを見回して口を開いた。
「そのほうらは、洛帝国とは異なる風習や価値観のもとで生きている。あたりまえだが、そのほうらとも、これまでの留学生たちとも、そういう話をしたことがなかったと思ってな」
訝しそうな石寿按や留学生たちの視線に、皇太子は、どこから話したものかと迷った。
「いや、もとはといえば、麗蓮妃についての話が発端だったのだ」
姉の名が出たので、セウネイエーは思わず皇太子を凝視した。その視線を受けて、皇太子も思わず彼女を見つめてしまった。
なるほど、たいへんな美少女だ。姉がこの妹以上の美女だというなら、やはり珂王には目の毒だろう。現に、自分と星寧姫の視線がぶつかったのに気づいて、男子留学生たちの顔色が変わったではないか。
そう思いながら、皇太子は言葉を続けた。
「麗蓮妃は、民を支配するより、民に尽くすことを考える人だと聞いたあと、別の者から、小国の王族は民との距離が近く、周辺諸国や馬賊の襲撃を受けることもあって、民を守ろうとする意識が強いと聞いたのだ。それで、洛帝国の皇族や貴族との違いに興味を持ったのでな。その点について、そのほうらの話を聞きたいと思ったのだ」
留学生たちはとまどった。「民を支配するより、民に尽くすことを考える」とまでは言えないが、たしかに王家には「民を守る」という意識があると思う。皇帝が民の目に触れることのない雲上人である洛帝国に比べれば、王家と民の距離は遥かに近い。そういうことに関心を持ってくれた皇太子に好感を覚えたが、だからといってうかつなことを言えば、自国を自慢して洛帝国を批判していると受け取られてしまうかもしれない。
皆の逡巡を察して、セウネイエーが口を開いた。
「恐れながら申し上げます」
皇太子が洛帝国と小国の王家の違いに関心をもった発端が姉についての噂だというなら、やはり自分が話をすべきだろうと考えたのだ。
「わが沙蘭国は王都とその周辺に点在する農村から成っています。都市と言えるのは王都だけで、人口の大半は王都の住人です。その王都からして、この華陽の都に来るまでに通りすぎた洛帝国の地方都市に比べて、けっして大きいとは言えません。最初に宿泊した西康の街でも、わが国の王都より大きいように見えました。ですから、当然、王や王家と民との距離も近くなります。王と民との距離は、洛帝国でいえば、皇帝陛下より西康など地方都市の太守様のほうにずっと近いと思います」
皇太子は頷いた。洛帝国が抜きんでた大国だということはわかっていたが、周辺諸国の規模は実感としてよくわかっていなかった。王都が辺境の小都市である西康より小規模で、人口もその程度なら、たしかに王と民の距離は近いだろう。
「沙蘭国は西方諸国のなかでは比較的大きな国で、南方諸国は西方諸国に比べてさらに小さな国が多いと記憶しているが。それなら、沙蘭国よりもっと人口の少ない国から来た者も多いのではないか? そういった国では、王と民の距離はもっと近いのだろうか?」
留学生たちの大半が頷いた。皇太子と目が合った男子学生がおずおず口を開く。
「わたしの国の王都は、面積も人口も西康の半分以下でしょう。王と民との距離は、洛帝国でいえば、地方都市の太守様と農村の里長の中間ぐらいでしょうか」
皇太子は目を見開いた。地方都市の太守は官吏であり、出自はどうでも貴族と同等の身分だが、里長は平民である。その里長と太守の中間ぐらいというなら、思いのほか民との距離が近い。
「わたしの国はもっと小さいです」
緊張した声で口をはさんだのは峻国のチャムラン姫。洛帝国の貴人に見初められるようにせよと父王に言い含められていたので、ここで口を挟まなければと思い立ったのだ。冷静に考えていれば、国の小ささは自慢することではなかろうとか、皇太子は次の皇帝なのだから狙いどころとして貴人すぎるだろうと思うところだが、父の言いつけ通りにしなければという使命感で頭がいっぱいのため、そこまで思い至らない。
「三百年ほど前の先祖が、戦を避けて流浪のすえに山間部に建国した国ですから、民はすべて、ともに旅をした家臣たちの子孫か、分家して臣籍に下った王族の子孫です。ですから、貴族と平民の区別はなく、みんな身内のようなものです」
「ほう」と、皇太子は感嘆の声を上げた。
「なるほど。そのようにして建国した国であれば、民はみんな身内のようになるのだな」
「はい」
もっと何か言わなければと、チャムラン姫が迷っているうちに、皇太子はセウネイエーに目を向けた。
「では、沙蘭国は? 麗蓮妃と星寧姫は、民を守らねばという気持ちがことのほか強いようだと耳にしたが。そういう気持ちを強くもつような理由があるのか?」
そんなよけいなことを言ったのはだれだろうかと訝りながら、セウネイエーは答えた。
「わたしの国は、九年前、戦争で危うく滅びるところでした。そのとき、兵士たちだけでなく、多くの民が殺されたと聞きます。戦争のないときでも、村が賊に襲われ、逃げ遅れた者に被害が出ることも往々にしてございます。攻め込んでくる軍隊や賊に対して、民は無力で、つねに危険にさらされています。ですから、姉もわたしも、もちろん父王も、民を守らなければと思っています。たぶん、わが国のように民が危険な目に遭いやすい国の王家は、そういう気持ちを持っているのではないでしょうか」
何人もの留学生が頷いた。他国や賊の脅威につねに脅かされている国から来た留学生たちだった。そのなかには、「民を守る」と考えたことのなかった者もいたが、「国を守る」という意識はあったので、漠然と両者を同じものと思い、セウネイエーの言葉に共感を覚えたのだった。
ただひとり、キオグハンから来たタムカイだけは複雑な表情をしている。自国の強さに誇りを持っていたが、その強さゆえに自国が周辺の小国を脅かしているという自覚もあったのだ。
「なるほど。わが洛帝国の民にはそういう危険はないな。ということは、わが国は強大であることによって民を守っているといえるのかな」
皇太子の言葉に、セウネイエーは内心で怒りを覚えた。洛帝国が強大であるがために無理難題にも応じなければならない小国の者として、皇太子の考え方は好きではない。が、たしかに一面の事実だということは認めねばなるまいとも思った。
「もっとも、わが国でも、国境付近の村では、異国の賊の襲撃を受けることがある。彼らに対しては、守ってやらねばと思っているな」
言いながら留学生たちを見回した皇太子は、青ざめて緊張した表情のタムカイと目が合って、言葉を継いだ。
「あ、キオグハンの王子を非難するつもりはないぞ。国同士の取り決めで和平のために訪れている留学生と、勝手に攻め込んでくる賊は別物だからな」
なるほど、そういう理屈で戦争を避けているのかと、セウネイエーは納得した。
考えてみれば、サラライナから来た花嫁行列は、途中でキオグハンの馬賊の襲撃を受けた。その報告は、当然、帝国の上層部に届いているだろう。だが、それによって、留学生のタムカイや、キオグハンの血を引く第三皇子やその母の立場が悪くなったという気配はない。
たしかに、国境を越えて襲撃してくる賊が自国の国王の命令を受けているとは限らない。実際、勝手に襲撃している場合のほうが多いだろう。自分たちの一行を襲撃した賊の首領はキオグハンの王子であったが、それを知っているのは姉と自分、董玄焔の三人だけだ。自分たちは、もちろん、それを伏せているし、董玄焔も報告していないのではなかろうか。
ならば、賊とタムカイたちを別物と考えるのは妥当だろう。
「ふうむ、王族といっても様々なのだな。そのほうたちのように民のことを考える者もいれば、命惜しさにわが国の皇帝陛下に媚びようとする者もいるからな」
皇太子がだれのことを言っているのかわからず、留学生たちがけげんそうな顔をしているのを見て、皇太子は手をぱたぱたと横に振った。
「あ、いや、いまのは独り言だ。年若いそのほうたちに言うようなことではない。ただ、わが身の命や栄達のために皇帝陛下に媚びるようなあさましい者もいるという話だ」
訝しそうだったセウネイエーの表情がみるみる険しくなる。
「もしや、後宮の妃嬪たちのことを言っていらっしゃいますか? 小国から来た妃嬪たちこそ、国のためや民のためにわが身を投げうって後宮にいるというのに! わたしの姉だって、国や民のために嫁いできたのです。皇帝陛下に媚びたりしていません!」
留学生たちの幾人かも表情を強張らせる。姉や叔母など、身内の者が後宮にいる留学生たちだ。
教師の石寿按は焦った。皇太子は狭量でも暴虐でもないが、目下の者に反感を示されたことなどない身分だ。留学生たちの反応に怒りださないともかぎらない。
だが、皇太子は、怒るよりはとまどっていた。
「あ、いや、麗蓮妃や他国から来た妃嬪たちを非難するつもりはない。国の友好のために来られた方々のことは尊重しているつもりだ。ただ、まあ、自国が滅んだあとに皇帝陛下に媚びて寵愛を得ようとか、そういうのは国のためでも民のためでもなかろう」
サシャ国のことかと、セウネイエーは見当をつけた。カウリンの身内であれば弁護したいが、サシャ王家出身の侍女がいるということを秘密にしている以上、サシャ国の名は出さぬほうがいいだろう。
「具体的にどういう方の話なのかよくわかりませんので、これは一般論なのですが。国を滅ぼされたとはいっても、民が生き延びているなら、民を救うために生き延びて妃嬪になる王女がいても不思議ではないのではないでしょうか?」
「民を救うために妃嬪になる? その状況はよくわからないが。どういうことだ?」
「戦争のあと、負けた国が王や王家だけでなく、民も皆殺しにされることがあると聞いたことがありますが」
「なんだって? そんな野蛮な」
「洛帝国はそういうことをしないのですか」
「むろんだ。そんな暴虐で無益なことはしない」
「それは知りませんでした。たいがいの国には、そういうことはわからないと思います。それで、民たちだけでも助けようと考えた王女が妃嬪になる道を選ぶことはあるのではないかと思います」
それは皇太子には考えてもいなかった想定だった。じつのところ、皇太子が独り言で侮蔑したのは王女ではない。女はか弱いものだという固定観念があるので、滅ぼされた国の王女が生き永らえて妃嬪となるのは、見下す気持ちも哀れに思う気持ちもあるが、非難しようとは思わない。だが、男なら話は別だ。生き延びるために宦官となったばかりか、皇帝の寵愛を得ようとするような男には嫌悪感を覚える。
そう口にしなかったのは、目の前にいるのが十代の年若い少年少女たちだったばかりではない。セウネイエーと話していて、嵯柘太夫を見る目が揺らいだからだ。民が全滅させられるのを避けるために宦官になる道を選ぶ? そういう可能性もあるのだろうか?
考え込みながら、皇太子は学校を後にしたのだった。
その日の夕刻、レアウレナエーは、セウネイエーの話から、皇太子の人柄についてある程度の見当をつけた。
異国からきた留学生たちに率直すぎるように思えるが、自分の考えや感情を隠すのが苦手な性格なのか? それとも留学生たちが年若いというので警戒心が薄いのか? あるいはその両方なのか?
そのあたりは何とも言えないが、どうやら自分の知らなかった意見や価値観を知ろうとする柔軟さや寛容さを持った人物のようだ。その点は、さすがにあの皇后様の息子だと、レアウレナエーは思ったのだった。