バヌトゥのダンス(未完)

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 バヌトゥは、人間の姿をしているときは、行軍について来られるかどうか危ぶまれるほど弱々しい老人だったが、火竜の姿になったときには、動きが鈍いながら、じゅうぶんに戦力となりうる力を発揮した。
 そのバヌトゥは、戦いのとき以外はめったに火竜とならなかったが、例外として、たまに火竜の姿でダンスをしていることがあった。
 彼のダンスをいちばん多く目にしたのは、ミネルバ王女だったろう。なぜか、バヌトゥがダンスをするとき、ミネルバはいつもそのそばにいたのだ。
 そして、ミネルバの愛竜は、バヌトゥのダンスをたいへん嫌っていた。
「バヌトゥはダンスが好きなのかい?」
 マルスがチキに訊ねると、チキは首をかしげた。
「ううん、チキといっしょに旅していたとき、そんなことは一度もなかった」
 チキも好奇心を刺激されたようで、バヌトゥのところに理由を聞きにいったらしい。皆が焚火をまえにくつろいでいるとき、マルスのところにやって来て、こう言った。
「あのね、おじいちゃんのダンスのこと、おじいちゃんに聞いてみたの。そしたら、チキはまだ知らなくてもいいって、叱られちゃった」
 そばでチェイニーがクックッと笑っている。
「なに? チェイニーは知っているのかい?」と、マルスが訊ねる。
「まあね。たしかに、チキにはまだ早い」
 そう言ってから、チェイニーは真顔になった。
 忘れてしまうところだった。チキはおそらく、生涯、自分のために踊られる竜のダンスを見ずに終わるだろう。
(おれは神竜石をもっていないしな)
「ずるーい。チキにだけ教えてくれないなんて」
「チキは知らないほうがいいんだ。だからもう寝な」
 チェイニーになだめられ、チキが自分のテントに戻っていったあと、チェイニーが首をすくめてマルスたちに言った。
「バヌトゥのじいさんのダンスな、あれ、竜人族の求愛のダンスなんだ」


短い話なのに、途中まで書いてほったらかし……。
まあ、ここまででオチの見当はつくかもしれませんが。
続きを読みたいという物好きな方はゲストブックにリクエストをどうぞ。
ひょっとすると書く気を起こすかもしれません。


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