あなたは「はい」と答えました。アーダンの純情さをかわいらしく思い、心を動かされたのです。
 結婚式はひっそりとおこなわれました。式をとりおこなったのは、やはり奇跡的に一命をとりとめたクロード神父でした。ブラギの塔で祈りつづける合間を割いて、なりゆきで手に入れたというリワープの杖を使い、バーハラ郊外まできてくれたのです。
「こういうおめでたい話は、あの戦いからはじめてです」
 神父はそう言い、ふたりを祝福して、またすぐにブラギの塔に戻っていきました。

 数年後、あなたとアーダンのあいだに、かわいらしい女の子が生まれました。
「とうちゃんに似なくてよかったなあ」
 アーダンはそう言って、アンナと名づけた娘をかわいがっています。ひっそりと隠れ住むような暮らしでしたが、一家三人はなかよく暮らし、とても幸せでした。
 アンナが八歳のとき、あなたがた一家は災難に見舞われました。子ども狩りの兵士がやってきて、アンナを連れ去ったのです。もちろん、アーダンとあなたは激しく抵抗しました。農具を武器のかわりにして戦うアーダンの姿は、さすがは元シグルド軍の勇士で、あなたが思わず惚れなおすほどのものでしたが、剣や槍をもったおおぜいの兵士たちにはかないません。かろうじて殺されずにすんだのは、兵士たちに同行していたイシュタル公女が止めてくれたからでした。
 アンナは連れ去られてしまいましたが、その不運は一時のものでした。いけにえにされてしまう前に、イシュタル公女がアンナや他の子どもたちを逃がしてくれたのです。
 戦いが終わったあと、アーダンは、フィンやレヴィンといった昔なじみと再会することもできました。
 そして、あなたがた一家は、末永く幸せに暮らしました。

(終わり)


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