「申しわけありません」と、あなたは答えました。
「陛下は魅力的な男性だと思います。けれども、わたしが探している方は陛下ではございません」
トラバント陛下は、いきなり短剣を抜いてあなたに突きつけました。突然だったので、あなたは事態が飲み込めず、茫然としています。それを、陛下は何かカン違いしたようです。
「肝のすわった女だ。アルテナの母親を思い出すな」
陛下はそう言って短剣をおさめ、フッと苦笑なさいました。
「惜しいな。王妃になれる器の女と見えるのに。では、行って、おまえが探し求める男とやらを見つけるがよい」
あなたと占いじいさんは、一礼して、部屋を退出しました。
宿を出てから、占いじいさんが言いました。
「やれやれ。おまえさんにちょうどいいと思ったんじゃがのう。ほかに、ちょうどいい独身の男は思いつかん。いっそ、アカネイア大陸に行ってみるかね」
占いじいさんに言われて、あなたは「行ってみます」と答えました。