聖玉の王ー和睦への道・その1

同人誌で発表している長編小説のつづき10ページ目です。
はじめての方は「塔の街」1ページ目からお読みください。
同人誌をお読みになっていない方も、話についていけると思います。たぶん。

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「塔の街」1ページ目 前のページ 次のページ

 《塔の街》に到着した翌日、オレインに案内されて、ラーブたちは再び市長室を訪れた。
「オレインからお聞き及びかもしれませんが、わが《塔の街》には、あなたがたを国賓として接待する余裕はありません。もちろん、お持ちのホルム王国の貨幣をこの街で通貨としてお使いいただいてかまわないのですが、それは補助的なものとして、基本的には、ほかの市民たちと同じように、働いて、その稼ぎで暮らしていただいたほうが、市民たちの反感も少なく、お互いに理解しやすくなるかと思います」
「できるならそのようにしたいと、わたしも思っておりました」
「そう言っていただけて助かります」
「それで、わたしにできるような仕事はあるのでしょうか? もとより、できることなら何でもするつもりをしていますが」
「まず、ラーブ殿とリーズ殿の仕事として、役所の補助職員をしていただきたいと思っています。わたしや市職員たちの助手であり、いずれは市職員として働くための見習いでもあるのですが」
「よいのですか?」
 ラーブが思わず問い返した。
 見習いとはいえ、役所の仕事となれば、この街の機密にあたる事柄を知ることもあるだろう。そういう仕事に、追放中の身とはいえ、人間の国の王を就けるのは英断だ。
「事前に討議したとき反対意見も出ましたが、わたしは、互いの理解を深めるのによいと判断しました。わたしの意見に賛成してくれた者も何人もいましたし、反対した者も、しばらく様子をみるということで納得してくれました」
 市長が信頼してくれているのだと思うと、ラーブは目頭が熱くなるほど感激した。
「ありがとうございます。喜んでお受けいたします」
「いや、お返事は条件を説明してからでけっこうですよ。条件があまりいいとは言えませんので。《塔の街》の市職員は人間の世界の役人と違って、身分や地位が高いわけでもなければ、収入がよいわけでもありません。しかも補助職員は見習いですから、なおさらです。働く時間も、毎日仕事があるわけではありません。仕事を教える者との時間の調整やら、学校との時間の調整も必要となるでしょう」
「学校?」
「学校には行ったほうがよいでしょう。今までは家庭教師に教わっていたかもしれませんが」
 市長はそう言うと、学校のカリキュラムの表を見せてくれた。
「われわれのほうが知識が進んでいる分野もありますし、人間とわれわれとの視点や価値観の違いをご理解いただきやすい授業もあります。たとえば、歴史や政治などの分野では、魔族を悪と考える人間たちとは相反する教えを受けることになるでしょう」
 熱心に聞いているラーブの服の袖を軽く引っ張って、テイトが「ラーブ様」とささやいた。
「ご用心ください。ラーブ様を洗脳するつもりです」
「テイト」と、ラーブがたしなめた。
「失礼なことを言うんじゃない」
「かまいませんよ」と、市長がおだやかに微笑んだ。
「教育を通じて若い人の価値観に影響を与えようとするのは、善きにつけ悪しきにつけ、よくあること。そういう気持ちをラーブ殿に対してまったく抱いていないと断言するつもりはありません。しかし、強引にラーブ殿の気持ちを捩じ曲げようとは思っていません。ただ、異なる考え方があると理解するのが、和睦への道につながると思うのです」
 テイトは疑わしげだったが、ラーブは大きく頷いた。
「わたしは市長殿のご提案を受けたく思います。仕事についても、学校についても」
「では、受講する授業を決めてから、仕事の予定を組みましょう。この街でも人間の世界と同じ暦を使っていますから、ひと月(二十二日)を半分に分けた十一日周期で予定を組むことになります。不定期の仕事や臨時の仕事は別ですが」

 ラーブとリーズが受講する科目を決め、仕事の話に入ろうとしたとき、入り口の扉の向こうで騒がしい足音と言い争うような声が聞こえた。
「お待ちください! 来客中です!」
「その来客に用があるのです!」
 どちらも女性の声である。
 いまラーブたちがいる市長の執務室兼応接室は、廊下に面した扉もあるが、来客は受付のある小部屋を通って出入りする。どうやら受付嬢の制止を振り切って、強引にこちらの部屋に入ろうとしている女性がいるようだ。
 市長が眉根を寄せて「あとにしなさい」と叫ぶのと同時に扉が開き、魔族の女性が入ってきた。部屋にいた全員が、その女性に顔を向けた。
 年齢は、サーニアと同じぐらいか、もう少し年上だろうか。長い黒髪を菫色のリボンで結い上げて一筋後ろに垂らし、衣服は、濃い菫色と白に近い淡い菫色の二枚重ね。下に着た濃い菫色の衣服は、襟元は首が半ば隠れるぐらいの立ち襟で、袖はひじから手首にかけて緩やかに広がっている。足首までの長さのスカートと見えたのは、歩くにつれ、スカートに見えるほど幅の広いズボンだとわかった。
 淡い菫色の上着は、袖はなく、左右の肩から円弧を描いてゆったりしたドレープが流れ、共布の帯を左脇で蝶結びにしている。スカート部分は膝のあたりまでの長さで、両脇の裾を半分ほどの長さに釣り上げて、胸元と同じく円弧を描くドレープを作り出している。
 来客中に乱入する無作法に非難の目を向けたリーズが、たちまち表情を変えて賛嘆の声を上げる。
「まあ、すてき」
「何が?」と、ラーブがけげんそうに訊ねた。
「この人のドレスがよ。初めて見るスタイルだわ」
「ああ、やはり見込んだ通りですわ」と、女性がうれしそうに顔をほころばせた。
「王妃殿下は優れたセンスをお持ちですわ」
「え、王妃?」
 リーズは顔を赤らめながら訂正した。
「わたしは王女よ。王妃ではなく」
「あ、ご結婚はまだでしたか。失礼しました、王女殿下」
「あ、いえ、リーズと呼んでいただければ」
「わかりましたわ、リーズさま。そんなことより、お仕事の話なのですが」
 リーズやラーブたちばかりか市長までがあっけにとられているなか、女性は話をつづけた。
「わたくしはレシュラと申します。《塔の街》でいちばんと自負している仕立て屋ですの。おもに注文を受けて仕立てていますが、縫いあがったドレスの販売もしております。ふだんよりもおしゃれをしたいときに着るドレスがわたくしどもの取り扱い商品でして、よりすてきなドレスを仕立てるため、新しい情報をできるだけ知るように努めているのですが、人間界の流行はほとんどわかりません。そこで、リーズさまにいろいろお話をお伺いしたいのです」
「あら、でも、わたし、舞踏会に出たことは数えるほどしかなくて、自分や身近な人の衣装しかよくわからないのですが、それでよろしいのですか」
「ええ。もちろんですわ。貴重な情報です」
 リーズは目を輝かせながらも、ラーブと市長のほうをちらりと見た。市長からの仕事や学校の授業のスケジュールをまだ決めていなかったので、そちらを優先しなければいけないだろうと思ったのだ。
 それを察したようで、市長がレシュラに向かって口を開いた。
「いま学校や仕事のスケジュールを決めているところなので、少し待ってもらえないかね」
「あら、学校は、これから受講するとすれば、まだ半月以上先でしょう? 仕事もすぐに始まるわけではありませんでしょう? こちらのお仕事は単発ですから、とりあえず、今日でも明日でも明後日でも、半日ほどお時間をいただけばよろしいのよ」
「おいおい、きのう長旅から到着したばかりで、それはきついだろう」
「いえ」とリーズが口をはさんだ。
「やりますわ。やりたいと思います。今日の午後でも、明日の半日でも、わたしのほうは大丈夫です」
 リーズがわくわく目を輝かせているのを見て、市長が微笑んだ。
「こちらの用件は午前中にすみますから、お好きにどうぞ」
「では」と、リーズがレシュラのほうを振り向いて言った。
「今日の午後にお伺いしますわ。どちらに伺えばよろしいのでしょう?」
「この市庁舎の向かいが待ち合わせによく使われる広場になっておりますから、九刻(午後一時半ごろに該当)頃にそこにいてくだされば、お迎えに上がりますわ」
「わかりました。そこでお待ちしています」
「ありがとうございます。では」
 レシュラは優雅におじぎをすると退室した。

 レシュラが去ったあと、ラーブたちは市長と相談して、今後のスケジュールを決めた。
 市長の説明でわかったことだが、《塔の街》も、人間の世界と同じく、ひと月二十二日を十一日ずつ二つに分けた暦を用いている。役所の窓口や学校など、公共の施設は基本的に毎月十一日と二十二日が休みで、人間の世界と同じく、商店や工房などもそれに倣っているところが多い。
 ただし、奉公人の働き方は、人間の世界と大きく違う。人間の世界では、奉公人は休みが一巡十一日間か一カ月(二巡)に一日という場合が多いが、《塔の街》では、一巡に二日ぐらいの休日が一般的だという。
 働く時間も、人間社会の奉公人たちがたいてい朝から晩まで一日中働いているのに対して、《塔の街》では、一日に五刻(約七時間半)か六刻(約九時間)働くのが一般的だ。ただし、もちろん、採集や狩猟や交易など、旅を伴う仕事の場合は別だが。
 学校は、人間のほぼ三歳にあたる二十一歳から、人間のほぼ十歳にあたる七十歳ぐらいまでの子供が通う初等教室と、それ以上の年齢の子供やおとながそれぞれの選択した授業を受ける一般教室があり、ラーブたちが受けるのはもちろん一般教室だ。
 初等教室は居住区の奇数階にあり、一般教室は偶数階にある。初等教室と違って、階によって授業内容はさまざま。偶数階全部にある教科もあれば、一つか二つの階でしか受講できない教科もある。
 一般教室の授業は、一教科が一刻で、午前中に移動時間を兼ねた休憩を挟んで二教科、午後に同じく休憩を挟んで二教科、夜に一教科行なわれ、生徒たちは、自分の空き時間や興味によって受ける教科を選ぶ。
 一般教室の教科はたいてい一巡に一教科。人間の約七倍の寿命をもつ魔族には学ぶ時間がたっぷりあるので、本業に差し支えることなく楽しみながら学べるような、ゆったりしたスケジュールで授業を受けている者が多いという。
 各教科の開始は、終了まで一年か二年の教科なら新年祭が終わったあと、半年の教科なら新年祭のあとと夏至祭のあと。期間の定めのない教科なら随時はじめられるが、それは剣や弓といった武術系の教科か、または芸術系の上級コースとなるので、ラーブたちは対象外だ。
 あと十日ほどで夏至祭なので、夏至祭後からはじまる半年の教科の中から選べばいいという。
 半年の教科限定とはいっても、興味を惹かれた教科がたくさんあるのを見て、ラーブは生まれて初めて魔族の長い寿命をうらやましいと思った。
 ラーブとリーズは、自分たちの希望と市長の助言をもとにスケジュールを組んでいった。
 今年の夏至祭は夏至の月八日から十日までで、十一日は公休日なので、学校は夏至の月十二日からはじまる。今日はミウ麦の月二十日で、三日後が夏至の月一日。役所の見習い仕事は、夏至の月のはじめからでも、後半からでもいいというので、ラーブは月初めから働くことにした。
 夏至の月前半のラーブのスケジュールは、一巡十一日間のうち、朝から三刻(約四時間半)仕事をする日が三日。午後に三刻仕事をする日が二日。間に一刻の休憩をはさんで計五刻働く日が二日。夏至の月後半からはそれに学校の授業が加わり、一巡十一日間のうち、午前も午後も学校の日が二日、午前中は学校で午後は仕事の日が二日、午前中は仕事で午後は学校の日が二日、午前中仕事で夜の授業に出る日が一日、午前も午後も仕事の日が二日、休日が二日となる。
 学校が始まるまでは自由な時間が多いので、図書館で勉強したり、街の中を見て回ることにした。
 ラーブの給料は一刻につき小さい銅貨二枚。支払いは一巡ごとにまとめて支払われ、その際、租税として四分の一が差し引かれる。
 つまり、ラーブの給料は、小さい銅貨換算で一巡に五十枚だが、端数切捨ての租税を差し引くと、手取りは銅貨三十八枚。十七教科の授業のうち四教科は無料だが、十三教科は有料。うち一教科は一巡で小さい銅貨一枚、それ以外は一カ月(二巡)で小さい銅貨一枚。授業料を差し引くと、給料でまかなえる生活費は一巡につき小さい銅貨三十一枚。最初の給料日までの生活費を別にしても、やりくりはかなり厳しい。
「その金額で生活するのはたいへんでしょうけど、当面お手持ちのお金で補ってくだされば、いずれは学校より仕事の比重が増えるでしょうし、昇給もあれば、仕事の内容によっては特別手当が付くこともありますから、給料でふつうに暮らせるようになると思いますよ」
「手持ちのお金が使えるのですか」
「使えますよ。来る途中で、入浴代を払ったでしょう?」
「外から持ち込んだお金で、こちらの物資を消費することになってしまいますが」
 ラーブの言葉に、市長は微笑んだ。好意的な笑みだった。
「なるほど、あなたは期待していた通りの方だ。《塔の街》が完全な閉鎖社会なら、たしかにそれは、こちらに負担のかかる状況です。しかし、《塔の街》は完全な閉鎖社会というわけではありません。人間と交易も行なっているのですよ」
 ラーブは目を丸くした。それは初耳だった。
「もちろん、人間に変装して、魔族であることは隠しての交易です。魔族だとはっきりさせたうえでの交易は、捕虜の身代金とか、今回あなたがたを迎えるにあたってエイリーク卿とおこなった取引のように限られたものだけですが。山岳地帯に住む人間のふりをしての細々とした交易は、ときどき行なっています。危険ですが、必要なのです。物々交換が多いですが、通貨を使うこともあります」
「つまり、ある程度の節度を守れば、手持ちの貨幣を使ってもこの街の不利益とはならず、差し支えないということですね」
「そういうことです。《塔の街》の通貨は、人間世界の通貨と、われわれの郷里である魔界のリモー王国の通貨がそのまま使われています。《塔の街》独自の通貨は鋳造されていません。そんな余裕はありませんから。人間世界の通貨は、小さい銅貨や大きい銅貨など国際的に使われている貨幣なら、どの国の通貨でも使えます。自国の中でしか使えない少額通貨は原則として使われていません」
「原則として?」
「一般に流通してはいませんが、使うことを禁じているわけではありませんから、同国出身の者同士では使われることもまれにあるようです。リモー王国の通貨も、公式に流通はしていますが、割合としては少ないですね。が、知らないと混乱するかもしれませんから、お見せしておきましょう」
 市長は、腰に下げた皮袋を開けて、中身を見せてくれた。たしかに中身は大半が人間世界の銅貨のようだったが、なかには見たことのない貨幣もあった。
「これがリモー王国の小さい銅貨で、これが大きい銅貨。あいにく銅貨しか持ち歩いていないので、ほかはお見せできませんが、人間世界の十二の王国と同じく、小さい銀貨、大きい銀貨、小さい金貨、大きい金貨もあります。この街で暮らしていれば、ときおり見かけることになると思います。給料の中にリモー王国の通貨が混ざることもあるかもしれません」

 ラーブのスケジュールが決まったところで、他の仲間たちのスケジュールも次々に決まっていった。
 リーズのスケジュールはラーブとほぼ同じだが、今後もレシュラから仕事を受けることになれば、あとでスケジュールの調整をしてもよいということになった。
 テイトはラーブと同じ教科を選び、サーニアも六つの教科を選んで受けると決めた。サーニアの助手のキトも当然のように同じ科目を選んだ。
 レイヴは、学校に行くのを初め渋ったが、授業の一覧表を見ると興味をひかれた教科があったようで、一巡に五つの教科を選んで受けることにした。そのうち四つはラーブやリーズが選んだものと同じ教科だった。
「ハウカダル島北部の地理と植生」
 レイヴが選んだなかで自分たちが選ばなかった教科を口にしながら、ラーブが残念そうな顔をした。
「それも興味深いね。『魔族と人間が共存していた時代について』と重なっていなければよかったのに」
「選んだ教科を終了してから、そちらも学ぶといいでしょう」と、市長が言った。
「いつまでこの街に滞在するかにもよりますが、何年か滞在するなら、学ぶ時間はたっぷりありますから」
 仕事については、サーニアとレイヴは問題なかった。
 薬草を集めて薬をつくる仕事も、魔力を使う仕事もたくさんあり、サーニアはそれに従事することになった。採れる薬草は、《塔の街》の山頂や周辺地域とホルム王国付近とでは大きく違うが、それは学校で学べる。魔力を使う仕事は収入がよいが、体力を著しく消耗するので兼業にする必要があり、サーニアは愛着のあるこれまでの仕事と兼業することにしたのだった。
 レイヴは、食糧調達隊の護衛の仕事など、元傭兵に向いた登録制の仕事がたくさんあると聞き、その登録をしておくことにした。
 問題はキトとテイトだった。キトはサーニアにひたすら尽くし、テイトはずっとラーブの従者として生きてきた。ふたりとも、主君と仰ぐ人のそばを離れて別の仕事をするなど、考えたこともなかったのだ。  だが、ここでそれを貫こうとすれば、サーニアとラーブの負担になる。とくにラーブは、自分の収入で自分ひとりを養うのもおぼつかない状況だし、手持ちの金を使って従者を侍らせるとなれば、魔族たちの心証も悪かろう。
 キトのほうも、サーニアが助手を必要とするのはまだしばらく先だろうという推測はできたので、仕事もないのに養われて負担にはなりたくないと考えた。  逡巡するふたりに、市長は食糧調達隊の仕事を提案した。
 《塔の街》にあっては、食糧の調達は重要な仕事だ。《塔の街》の内部や山頂部だけでは充分な食糧を賄いきれないので、食糧となる植物採集の隊や狩猟が主目的の隊が随時派遣される。登録しておいて一回ごとに契約する臨時仕事だが、それだけに、学校の授業と両立できるように仕事を選ぶことができる。
 食糧調達隊には、サーニアが薬草採集のために加わることも、ラーブやリーズが市職員のひとりとして同行することもあるだろうと聞いて、キトもテイトも即座に市長の提案を受け入れた。だれよりも大切な人が多少なりとも危険の伴う場所に赴くなら、同行せずにはいられないと、ふたりとも考えたのだ。
 ふたりの熱意に、市長は微笑とも苦笑ともつかぬ笑みを浮かべた。
「では、キト殿はサーニア殿の予定を、テイト殿はラーブ殿やリーズ殿の予定を聞いて、それに合わせて仕事を選べばよろしいかと。もっとも、食糧調達隊には、魔力を持つ者や武術に長けた者が必ず同行することになっています。それに、狩猟隊はともかく、植物採集隊はたいてい日帰りで、この山から遠く離れることはめったにありませんから、危険は少ないと思いますが」
 ともあれ、こうして、ラーブとその仲間たちの当面の予定が決まったのだった。


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